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ショートショート+(しょーとしょーとぷらす)では、電子ショートショート作家くにさきたすくがショートショートを使って何か新しいことをできないかを模索していきます。

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当然の……

+公募 +自作

 ……落選です。

 第32回「小説の虎の穴」佳作発表: 公募ガイド発表BLOG

 課題は「タイトルが格言」

 まず取っ掛かりが難しかったですね。

 格言なんて星の数ほどありますし。どこからどう拾ってきたらいいものか。

 で、普通のことわざや歴史上の人物の格言を拾ってきてもつまらないなあと思い、お笑い芸人さんの格言から話を作ることに決めました。

 初めに思いついたのは、明石家さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」

 しかし良い物語が作れず、他のお笑い芸人さんの格言を検索。

 お笑い芸人エピソード検索。

 お笑い動画を検索。

 お笑い動画を試聴。

 と、迷った(サボった)挙句、最終的に博多華丸大吉さんの漫才に出てくる格言「スピーチとスカートは短いほうが良い」にたどり着きました。

 お笑い芸人さん自身の格言ではないものの、いいものが見つかったと思いました。お話もスピーチ(語り)にしたので、心理描写や小説的表現の苦手な自分には合っていて、比較的スムーズに出来上がりました。

 重大なミスを犯していることに気づかず……

 

 

 話は変わりますが、“小説の虎の穴”の課題は毎回難しい。

 この課題をどう決めているのか。

 もちろん選者の清水義範先生の作品の中から課題を拾っているのです。――と私は勝手に思ってます。ただの推測です。編集部の皆さんが輪を作り、祈りをささげて、天から課題が降りてくるのを待っている可能性も若干あります。

 次回の課題は「大人向けのメルヘン」です。

 イマイチ想像がつかない。

 どういう作品だろう。

 そうだ、清水先生の本にヒントがあるかもしれない。と適当に本を手に取りパラパラとめくると、その目次に――

 

『スカートとスピーチは』

 

 愕然としました。

 私は、清水先生と(ほぼ)同じテーマで書いた物をエラそうに送りつけていたのです。堂々とパクってしまっていたのです。無意識のうちに。(←ここが主張したいところ)

 今回の課題がこの作品から考えられた可能性もありますし、これはもうタイトルを見た時点で、選外行きになってもおかしくないでしょう。 

 

 というわけで、この作品はストックしておいても意味が無いので、ここで公開します。

 清水義範先生へのオマージュ作品です。

 

 

『スピーチとスカートは短いほうが良い』

 

 ただいまご紹介に預かりました高木と申します。この度は、えーっと……おめでとうございます。
 和也くんとは、学生時代からの付き合いで、十年ほどになります。彼は非常に変わり者で、普通はやらないようなことでもズバっとやってしまうような……まあ、皆さんもご存知かと思います。
 わたくし、こういうスピーチというものがあまり得意ではありませんで……そうそう、前の式の時も失態をやらかしまして、非常に重苦しい空気になっちゃったんですが、和也くんのご厚意で今回こういう名誉挽回の機会を与えて頂き、再びスピーチをすることになりました。
 えー……スピーチとスカートは短い方が良いなどと言われます。和也くんには好きなようにやっちゃってくれと言われてますが、短く簡単に済ませちゃいましょう。そうそう、結婚式の挨拶には忌み言葉やNGワードなんてものがありますが、今回は別に気にしなくてもいいとお墨付きをいただいてます。もういくつか言っちゃったかな。もちろん咲江さんにもご了承いただいてます。
 それでは最初に、その前回の失態についてここでお詫びさせていただきたいと思います。和也くん。申し訳ない。わたしが学生時代の女性関係のやんちゃぶりを披露してしまったことから、夫婦関係がぎくしゃくし始めて、結局離婚することになっちゃったんだよね。本当に申し訳ない。
 まあでも、今日こうして前回ほど盛大ではないにしろ素晴らしい式を迎えることができたわけですから、まあ結果オーライってことでしょうかね。
 ああ良かった。
 思いのほかウケましたね。昨日頑張って考えた甲斐がありました。
 じゃあ、おさらいしておきましょうか。何を? 和也くんのやんちゃについてですよ。正直、これほどウケる話は無いんですよ。前回はスベっちゃいましたけど。今日なら何を言ったってウケるような気がしてきました。前に聞いたよという方も、新鮮な気持ちで聞いてやってください。
 あれは大学の二年の頃かな。彼はサキさんという方とお付き合いをしておりまして。わたしは数度しかお会いしていないんですが、ええ、可愛らしい子でした。問題は彼がその前に付き合ってた女性と、完全に切れてなかったと言うことでして。
 ある日、目を真っ赤にはらした彼が、僕の元に来て「浮気がばれた」と。ああ、その顔からすると、情に訴えるために泣いて謝ったんだなとその時は思ったんですが、そうでは無かったんです。
 くわしく話を聞くと、サキさんと大喧嘩してスプレーをかけられたんだと。わかります? 痴漢撃退スプレーですよ。唐辛子の成分が入ったヤツ。それを顔にブシューって。そりゃあたまらないですよね。痴漢と浮気は大違いです。いくら女性のスカートが短くても彼は痴漢なんかしないですよ。浮気はしますがね。
 それでね。彼も反省してその女性とは完全に縁を切ったんです。で、わたしが「まあ目が赤くなる程度で済んでよかったな」と言ったらですね、彼はなんて言ったと思います?
 こう言ったんですよ「あと二回、この目はもつだろうか」ってね。
 おお、やっぱり今回はウケましたね。お二人にも笑っていただいてほっとしました。
 まあ、こんな話を前回したわけです。でも別に悪意があったわけじゃないんですよ。サキさんとは結局仲直りしたようですし、そんな大きな壁も乗り越えるだけの力が二人にはあるという事を言いたかったんです。
 そう……わたしは大きな勘違いをしてました。その時、わたしは新婦の事をてっきりサキさんだと思ってたんですよ。学生時代に会ったきりで顔もあまり覚えていませんでしたし、女性というのは化けるものですから、ウエディングドレス姿の新婦、咲江さんを見てもまさか別人だとは思いもしなかった。名前も似てますしね。咲江さんのことを普段はサキと呼んでたんだと勝手に解釈してしまって。いやあ、失敗、失敗。
 でもね。今日の二人の笑顔を見ると、あの失敗はあながち間違いではなかったんじゃないかと、和也くんのことを深く知るための良い機会になったんじゃないかと、そう思っています。
 くり返しになりますが、スピーチとスカートは短い方が良い。だらだらしゃべらずに、このへんで終わりにしときましょう。
 そう、結婚生活もまたしかり。短いに越したことはない。苦しみながらだらだら続けるより、短くスパッと切り捨てることも必要なのです。
 お二人は本当に立派な決断をされました。そして本日、このような晴れの場を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。
 和也くん、咲江さん、円満離婚おめでとうございます。

 

(了)

 

 

『スカートとスピーチは』が収録されているのはコチラ。

ことばの国 (集英社文庫)

ことばの国 (集英社文庫)

 

 

 

 そういえば以前、第30回の課題「吾輩は〇〇である」(人間以外のものが主人公)の時、主人公をゴミにしてゴミ視点で書くという事をしました。

 そして、清水先生の著作に「ゴミの定理」という作品があります。(ゴミ視点ではないけど)

 こっちはわざとです。ごめんなさい。(・ω<) てへぺろ

 

ゴミの定理 (講談社文庫)

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