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ショートショート+

ショートショート+(しょーとしょーとぷらす)では、電子ショートショート作家くにさきたすくがショートショートを使って何か新しいことをできないかを模索していきます。

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釣り人

+自作

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 いつもの公園でのジョギング。全ての不純物を濾しとったような朝の空気。俺はこれを吸いに来ていると言っても過言ではない。人通りは無く、独り占め。
 新緑の並木道をぐるっと一周走った後に、いつものベンチで一息つく。
 目の前の小さな池で、釣り糸を垂らす一人の男がいる。珍しい。こんな時間帯で無くても、ここで釣りをしようなんて人間は見たことが無い。
 俺は釣り人の横まで行って、池を眺めてみた。蛍光色の浮きが苔の張った水面に浮かんでいる。釣り糸の先は見えない。
「こんな池で何か釣れるんですか?」
「……まあね。水面は濁っているけど、意外と底の方は澄んでいるんだよ」
 釣り人はこちらに見向きもせずに答えた。
「何が釣れるんですか?」
「……タイかな」
「タイ?」
 こんな池でタイなんか釣れるはずがない。
「今はもう違うけどね。さっきまで、エビを餌にしてタイを狙ってたんだよ。タイはもう釣れたから狙いは別の大物」
「というと?」
「タイを餌にして、マグロを釣るんだよ。でも、もうマグロも釣れたから、今度はマグロを餌にしたんだ」
 マグロがタイを食うわけがない。
「それでクジラが釣れたから、今はクジラを餌にしてもっと大物を待っている所」
 クジラがマグロを。そんなわけがない。しかし釣り人は真顔だった。全部信じたとしても、クジラ以上の大物とは何だろう。
 その時、浮きが少し沈んだ。
「あ!」
 俺は思わず声を上げた。
 釣り人はすぐに竿を引いてアワセた。糸が張り、竿はしなる。
 何かが掛かったんだ。
 釣り人はリールを巻き、もう一度竿を強く引きよせると、水面が盛り上がった。
「こいつは大物だ!」
 俺は大声を上げ、高揚し飛び上がった。そのまま宙に舞った俺は、空の向こう側から垂れる釣り針に奥襟を引っ張られて水面を突き破り、濁った水しぶきを上げて釣り上げられた。

 

バイト シュリンプ キーリング ピンク

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 エイプリルフール2014