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ショートショート+(しょーとしょーとぷらす)では、電子ショートショート作家くにさきたすくがショートショートを使って何か新しいことをできないかを模索していきます。

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LOST

LOST

 ファーーーーーーーー

 熱風で砂や雑草を巻き上げながら、宇宙船はその星に着陸した。宇宙船とは言うものの、中には最低限の機材しか積み込まれておらず、船体のデザインもただの球形という非常にお粗末なものだ。
 ハッチが開き、二足歩行の生物がゆっくりと姿を現す。
「今日はまったくついてない」
 彼が乗っていた巨大宇宙船は事故にあった。さらに、飛び乗った脱出ポッドの自動操縦が故障し、帰還ルートから外れるという危機に陥っていた。この星にたどり着いたのはまったくの偶然である。
「この星は、日当たりがいいな。不幸中の幸いだ」
 脱出用の宇宙船は、太陽光エネルギーによって稼動するものであったため、5時間ほど太陽光を蓄えればまた飛行可能になる。
 見渡せば植物は豊富にあり、巨大な湖も遠方に見える。
 彼はとりあえず、水と食料を確保することにした。毒物探知の機器と護身用の光線銃を宇宙船から持ち出し、ハッチを閉めてその場から離れた。
 数歩歩いたところで、大きな地響きの音が聞こえてきた。どんどん音は近づいてくる。
「この星の生物か」
 彼は茂みに隠れ、光線銃に手をかけた。

「社長!こっちです!」
 小柄の男は額の汗を拭いながら、手を振った。
「いやーロストボールかと思いましたが、ちゃんとフェアウェイに乗ってるじゃないですか。何かに跳ね返ってきたんですかね。今日はついてますね~!」
 後から来た小太りの男が、笑顔でこう返す。
「はっはっは。運も実力のうちさ。はっはっは」
 社長と呼ばれた男は、ゴルフケースからアイアンをとりだし、素振りもせずに力の限り玉をたたく。
「ナイスショット!」

 宇宙船は、はるかかなたに飛んでいった。

僕が旅に出る理由

僕が旅に出る理由